PDFファイルの閲覧・ダウンロード方法

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2010年8月22日日曜日

かわら版第19号(Web版)

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平成19年3月、国土交通省自動車交通局及び自動車運送事業に係わる交通事故要因分析検討会は、「バスの車内事故を防止するための安全対策の提言」を発表している。この提言は、平成17年の交通事故要因を分析したうえで発表されているところ、平成17年のバス事故件数は、年間3833件で、車内事故は、その3割の1231件である。したがって、車内事故を防ぐよう事業者が努力するのはもちろんのこと、車内事故を防ぐための策が、バス事故の7割を占める車外事故を誘発しないように留意するのは、当然のことである。しかしながら、多摩バス(といっても職場は西東京バスだが)は、運転の最中に頻繁に過剰なマイクアナウンスを強要し、これを裏面添乗員にチェックさせ、評価制度による安価な労働力を作り出す為の技巧として悪用したり、ダイヤ改「正」の度にますますゆとりのないダイヤを編成し、とことん運転士の労働強化を行なっている。
このような働き方・働かされ方は、運転するものの「安全運転義務」を阻害しているといえないだろうか。専門家が行ったアンケートによれば、多くの運転士は過剰なマイクアナウンスを行うことにバス運転上の危険を感じている。実際、事故の件数にも差が生じているというデータがある。すなわち、過剰なマイクアナウンを頻繁に行う運転手は、それを行わない運転手と比較して事故が多いのである。
当然ながら、車を運転するからには、仕事であろうが、プライベートであろうが、安全運転に努めなければならない。そこで会社の指揮命令が「安全運転」に支障をきたすようであれば、その指揮命令は交通労働者にとって不適切といえるであろう。

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会社は、国交省の許認可を受けバス事業を行っているのである。その上で道路運送法から逸脱することは許されない。
道路運送法「第1条(目的)この法律は…道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし…輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする」、旅客自動車運送事業「目的(1条)この省令は、旅客自動車運送事業の適正な運営を確保することにより、輸送の安全及び旅客の利便を図ることを目的とする」、輸送の安全(2条の2)については、「旅客自動車運送事業者、経営の責任者の責務を定めることその他の国土交通大臣が告示で定める措置を講ずることにより、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない」のである。
旅客自動車運送事業者は、過労の防止を十分考慮して、国土交通大臣が告示で定める基準に従って、事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間を定め、当該運転者にこれらを遵守させなければならない。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」には、①1日の「拘束時間」は13時間以内を基本とし、最高16時間、15時間超は1週間2回が限度であり、②1ヶ月の「拘束時間」は原則293時間を超えることはできない。1年間の拘束時間の合計は3516時間という上限があり、293時間を超えることができる月は6ヶ月以内とされている。③1日の運転時間は2日平均で9時間以内、2週間を平均し1週間当たり44時間以内とされ、⑤連続運転時間は4時間以内等々と定められている。
しかしその実態はと言えば、以下毎日新聞(07/2/21)より

「厚生労働省の立ち入り調査で、労働基準法などに違反するとして05年に行政指導を受けたバス会社が全国で85社に上ることが分かった・・・00年に比べて、4倍以上に増えた・・・同省は毎年、内部告発や違反歴などを参考に、各地の労働基準監督署を通じてバス会社に立ち入り調査を実施。05年は調査した118社のうち85社が、労働基準法や労働安全衛生法などに違反していた・・・05年の主な違反内容は、労働時間(週40時間など)に関するものが56社、割増賃金関連が31社、休日関連が8社だった。また同省が自動車運転手の拘束時間などを定めた改善基準告示についても、70社が違反していた。内訳は、▽1日最大拘束時間(16時間)違反52社▽休息時間違反26社▽連続運転時間(4時間)違反15社、などだった」。

違反を繰り返し、潜脱行為を行なっているのは、なにも多摩バス(西東京バス=京王)だけではなく、今日、多くのバス会社の実態である。本来、労働組合が独立した立場から会社運営をチェックするという重要な役割を果たすはずなのだが、組合幹部どもは自己保身のため、「労使協調路線」と叫んでは労働者を欺き、会社計画を次から次へと認めるばかりである。
会社の言いなりとなって、「指導担当員」となったり、わずかの改善を得ようとするやり方では、決して安全を守ることはできない。

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つい先日、西八王子駅付近の甲州街道でバスを待機させ、発車の際にバック事故があった。当該指導員運転士は会社から指導員を解任されたようである(会社側掲示文書)。指導員を解任された運転士は「潔く自ら指導員を辞任した」と言っているようである。おいおい、これまたヘンな話じゃ~ないか。なぜなら、指導員は事故が起きたら指導員を辞めることになっているのか? そんな慣習もなければ社内規則も聞いたことがない。現に事故を何回も起こしている指導員だっているではないか・・・。
そもそも、事故というのはその時の状況を多角的に吟味・検討する必要があるのであり、これさえやらずに、事故を起こしたから「潔く」指導員を降りるというのは、当該指導員の言う、果たして「潔い」ことになるのであろうか。極めて疑問である。指導員という立場・地位であればなおさら事故を分析する技量や見識が求められるのではないか。
①これまで苦情や事故が生じている甲州街道での待機は問題である。②会社はバックカメラのないバスを配車し、ワンマンバスを国道で後退させることは問題である。③会社は西八王子駅近辺で生じた事故について再発防止に向け具体的にどのように対応してきたのかが問題である。④会社都合で作るいびつなダイヤ編成が問題である等々、指導員であればこそ今後の事故防止に向け事故を多角的に分析し、検討しなければならないのであって、解任したからとか、自ら指導員を降りたから済む話ではない。

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このような問題は、多摩バス(西東京バス=京王)の安全性に対する姿勢を表しているものと言える。
ついでに言っておくと、この指導員は元委員長の鈴木義則氏である。忘れてはならないのが、当時、「事故処分基準」について、事故による損害金額を処分基準にするといった会社提案を容認した張本人である。だとすると、鈴木義則氏には、事故の状況を多角的に分析するというプロセスを経ることの重要性について理解することは、ちょっと無理難題なのかもしれない。結果とカネにしか興味がないのだから…。
バスの車内に取り付けられた防犯カメラは、運転手の様子を覗き見するばかりではなく、乗客やバス停でバスを待っているお客さんや通行人の姿も記録している。高尾北口やグリーンタウン高尾や繊維団地などのバス停には、高性能(暗くても映る)小型カメラが設置されており、バスを待っている乗客の姿を記録している。営業所のパソコンの画面にはバスを待っている乗客の映像がリアルタイムで映し出されているのである。
多摩バス(西東京バス)では年間およそ300件の事故が起きており、中でもバック事故が相次いで起きているという事実がある。しかしながら、会社は事故防止、安全性からバスにバックカメラは装着しないけれども、防犯目的と言いつつ何倍もの費用をかけて車内防犯カメラを設置するのである。その他にも営業所のいたるところ、車庫のいたるところに監視カメラを設置している。まるで囚人を監視しているようでもあるが、支配の道具として、労働者を監視することにより、萎縮させ、物言わぬ労働者を作ることが狙いではないか。

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7月28日、休憩中のIさんは、吉田所長から「出勤停止で60%しか出ていなかった賃金について100%補償する」と告げられた。その翌日7月29日22時半くらいの出来事である。運行中のIさんが高尾駅北口に行くと、西川委員長に話し掛けられ「こないだの質問状の回答(回答期限23日)なんだけど、自分もおかしいと思ったから、黒田に交渉させてるから多分100%で補償されると思う」と言うのである。今更ながら西川委員長が何をおかしいと思ったのか意味不明であるし、会社から言わされているのかはともかくとしても、Iさんは「すでに直接会社から100%補償すると聞いていますよ」「私から組合に提出した文書の回答については文書でしてくれませんか」と応答した。なぜなら、Iさんは組合に対し、賃金についてのみ異議を唱えているのではなく、組合員の生活に真摯に向き合うよう求めているのである。そして今回、Iさんに対する自宅待機及び出勤停止処分は、Iさんのみならず、他の組合員にも同様の事が言えるからである。会社が貼り出した懲戒処分者の欄には、Iさんは職務怠慢と書かれているが、Iさんの職務怠慢が原因で種々の問題が発生している訳ではなく、これは運転士の働き方・働かされ方の問題である。会社は全ての責任を、労働者に転嫁しているだけである。第一、西川が今回の出勤停止はおかしいと言ったが、おかしいと思えばIさん自ら会社に文書を提出する以前に、組合として取り組むべきである。組合活動の一切を一組合員がやっているのであるから、西川・黒田執行部は労働組合としての職務をまっとうしているとは到底いえない。


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8月19 日、恩方営業所4階会議室で西バス労組の職場集会が行われた。その席上、多摩バス労組は10 月1日に解散し、西バス労組と統合するといった内容が伝えられた。
西川・黒田執行部は組合員に向け、まったく、なんら説明すらしていない。にもかかわらず、あたかも決定事項として解散・統合という言葉だけ、その中味がからっぽのまま、一人歩きしているのである。西川・黒田の公約は、「転籍に向けて労働条件の向上に取り組む」ことのはずである。これではまる投げではないか。
そこで、私たちは間違ってはならない。「組合統合」それ自体が問題ではないということである。問題は、具体的問題を取り上げ、追及する姿勢のない、多摩バス労組「労使協調路線」と同じく西バス労組「労使協調路線」とがこのまま統合したとしても、さらなる「労使協調路線」しか生まれないだろうということである。

2010年8月21日土曜日

かわら版第19号 「労使協調路線」では、組合統合しても意味はない!

安全よりも労働者の監視を優先-こんな会社の言いなりでいいのか! 闘う労働組合につくり変えよう!