多摩バスでは評価制度の名のもとに労働者の労働強化及び脱法行為が後を絶たない。
具体的に言えば、京王=多摩バスのやり口は、「評価で加点します」と労働者をほのめかし、ひと月あたり100時間を超える増務および休日労働、あるいは、本来、変形労働時間制による休日であっても(時間は極めて不規則)、寝ているところへ携帯電話を鳴らし、朝っぱら4時に呼び出されるなんてことも少なくない。会社は「当日協力すれば評価の加点も大きいですヨ」などと言うのである。
しかしがら、実際問題、増務や休日出勤は労働者にとって生活の糧であり、これなしには生活が成り立たない、というのもこれまた多摩バスで働く労働者の実態である。そうであるからして、我先にと自ら率先して増務に手を上げる労働者も多く、所定時間外労働が増幅し、労働環境を悪化させている面も否めない。会社にとってはしめしめと言ったところであろう。
問題は、これだけ脱法的・潜脱的な劣悪な労働強化の行なわれる背景として挙げられるのは、あまりにも低賃金でコキ使われていると言うことである。そもそも運転士の募集採用時には「月25万円以上」と言いながら、実際、そんなにもらっていないのである。手取り16万と言うことだってしばしばである。だからこそ、増務や休日出勤により生活できる賃金を得るため、睡眠時間や休みをなげうってでも働かなければならないのである。
多摩バスでは評価制度を運用している。この評価制度、実にいかがわしいシロモノである。
もともと基本給ベースの低い労働者に査定や評価による減額、減給を強いるのであるからたまったものではない。
しかもである、この評価制度は、「指導員」や「リーダー」なる会社が恣意的に選抜した労働者と、それ以外の労働者ではスタートラインからして差別されているのである。どういうことかといえば、100点が最高点の評価制度にもかかわらず、「指導員」「リーダー」の職にない運転手は、その部分の加点はなく、最高点が90点なのである。つまり、ABCDEの5段階評価において、大多数の労働者がスタートの時点から、すでに圧倒的に不利な位置に置かれているのである。これでは多くの労働者の努力が報われるはずもないであろう。
ちなにみ、数年前のC評価の基準点は38点であった、いまや59点である。どれだけ会社が意図する労働強化がおこなわれているかわかるであろう。
多摩バス株式会社は、西東京バスが100%出資設立した子会社である。といっても通常の一般的に行われる新会社設立ではない。
すなわち、新たな新規事業を立ち上げるわけでもなく、種々の事業の一部を子会社にするのでもなく、労働の内容が同一一体である西東京バス既存の路線の分配にすぎないのである。同一のものを分割することによって何が起きているかといえば、労働者の労働条件及び労働者管理において、既存西東京バスに比し、劣悪な過酷な支配・管理が行なわれ、差別的、階層化された不合理極まりない労働者支配を産み出したのである。
●これだけ違う労働条件
私たちの働き方、働かされ方は、
[労働時間]西東京バス(既存社員)の運転士の場合、所定労働時間が7時間50分であるが、多摩バスには一労働日に所定労働時間を定めていない。
[休暇]多摩バスには特別休暇なし。その替わり精勤手当が年間6万円。西東京バス(既存社員)は特別休暇が14日ある。忌引休暇は、西東京バス(既存社員)7日、多摩バスでは5日。保存年次有給休暇は、西東京バスは最大50日、多摩バスは最大20日。
[賃金]西東京バスは日給月給制。多摩バスは年俸時給制。
[住宅手当]西東京バス(既存社員)にはあるが、多摩バスはなし。
[家族給]多摩バスは配偶者手当なし、西東京バス(既存社員)のみ4000円。
[昇給]西東京バス(既存社員)は毎年一律4000円の定期昇給があり、多摩バスはなし。多摩バスは査定による昇進、昇給のみ。
[中休手当]西東京バスあり、多摩バスはなし。
[基準外割増率]西東京バスは1.28、多摩バスは1.25。
[深夜勤手当][車両清掃手当][基準外付加手当][バスカード発売手当]西東京バスは仕事毎400円、70円、1時間当たり350円、1枚当たり30円。多摩バスはなし。
[退職金]西東京バスあり、多摩バスはなし。
[評価制度]西東京バスでは昇給、賞与に反映するが、多摩バスでは基本年俸、業績年俸、昇進、降格すべてに反映。
[待機時間]多摩バスは休憩施設のある場所での待機時間が4分以外はすべて休憩時間。
等々なのである。
●賃上げ・労働条件の向上が急務
京王=多摩バスのインチキ評価制度はあてにならず、この先、多摩バス労働者は困窮するばかりである。何より具体的な労働条件の向上及び賃上げを求める以外にはないのだ。
8月30日の総選挙で、自民党が惨敗しました。臨界点を超えたひどい現実への怒り、このままでは生きられないという怒りが「一票行動」で示されました。この広範な怒りを労働者の団結した力にし、闘う労働組合をよみがえらせることこそが、社会を変え、未来を切り開く道です。11・1労働者集会は、その新たなスタートに立つ集会です。
■ 鳩山政権は道州制・民営化と戦争推進政権だ
問題は、民主党は労働者の回答になるのか? ということです。答えはNO! です。むしろ今まで以上にこの大恐慌のツケを労働者に押し付けてくるということです。800兆円以上も借金があり、自動車産業をはじめあらゆる産業がガタガタでどうやって財源をつくるのか。資本主義を守ろうとする限り、解決の方法はありません。民主党は、自民党以上に大量解雇・賃下げ、大増税、そして戦争をやるということです。「日米同盟強化」「東アジア共同体」でかつてのようにアジアに侵略戦争をやるということです。
その目玉が、道州制・民営化攻撃です。国を丸ごと民営化して、公務員360万人の首を切り、文句を言わない労働者だけを選別再雇用する。正規をガンガン非正規にして、すべての労働者に首切り・賃下げを強行し、戦争国家をつくって海外へ侵略戦争をやっていくということです。そのために労働組合を解体し、憲法を改悪するということです。
■ 許せないのは、連合の労組幹部だ
連合の腐りきった労組指導部どもは、労働組合は“労働者が団結して資本と闘う組織”という原則をねじ曲げ、資本と一体化し、その手先となって労働者に襲いかかる、労働組合をそういうものに変質させました。この連合と結託して労働者を支配しようというのが民主党です。鳩山内閣を見れば一目瞭然です。電機連合の平野が官房長官に、自動車総連の直嶋が経済産業相に据えました。電機連合や自動車総連は、「国際競争力を維持するために、労働者派遣法は必要だ」などと言っているのです。こんな腐りきった労働組合があるか!
しかしここに敵の最大の弱点があります。民主党は連合を使って労働者を取り込み、そして幻想を振りまいて労働者の味方面をすることによってしか政権を維持することはできなづらいのです。しかし、世界大恐慌はまだ始まったばかり。民主党は、新自由主義政策を押し進めれば労働者の怒りによって自民党のように打倒されてしまうという状況の中で、二進(にっち)も三進(さっち)も行かない手詰まり状態に陥るということです。
■ 11・1集会で、こんな現実を変えよう
こんな現実を変えよう! 社会を根本から変えよう! ひとり一人が主人公だ! 労働者の団結した力を示そう! それが11・1労働者集会です。
国鉄1047名解雇撤回闘争を柱に、3労組の呼びかけで11回目迎える11月労働者集会。私たちには、動労千葉を先頭に勝ち抜いてきた国鉄1047名解雇撤回闘争があります。「闘う労働組合をよみがえらせよう」と訴えてきた現場労働者の闘いが、ついに歴史の前面に登場する時代が来ました。集会には全国各地から、世界から、闘う労働組合の代表が集まります。
「民営化・労組破壊に立ち向かう労働者の国際的団結を」、これが集会のメインスローガンです。職種をこえて、正規・非正規の垣根をこえて、そして国境をこえて「万国の労働者が団結する」画期的な集会です。みんなの力で1万人の大結集を実現しよう!