PDFファイルの閲覧・ダウンロード方法

 「かわら版」では、PDFファイルの閲覧・ダウンロード方法を2009年2月10日から変更しました。
 下図に示すとおり、該当ウィンドウ上部の「メニュー」をクリックし「ダウンロードまたは共有」を選択します。
すると新しいPDF閲覧用ウィンドウが開き、そこからPDFファイルをダウンロードすることも可能となります。

なおこの際、Acrobat.com の内容を閲覧するためには、次の構成条件を満たすようにしてください。
必要システム構成: http://www.adobe.com/jp/acom/systemreqs/

特に、Flash Player が必要とされていることにご注意ください。




2011年1月1日土曜日

あけましておめでとうございます

2011闘春

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
 

2010年10月12日火曜日

かわら版第21号(Web版)

image

image 

最近、一部組合幹部の話では西バス労組の方針が180度転換したかのようにも聞こえる発言が少なくない。しかしながら、西バス労組は、新採用の運転手の待遇について、長年組合と会社との間で取り決めた約束(労働協約)を享受できない状態に置いている。
つまり、同じように組合費を払っている組合員でありながら労働協約が享受できず、新西組合員は労基法にも抵触した基準による労働が強いられているのが実態である。組合員でありながら組合員として受けて当然の利益が受けられないのである。昨今恩方営業所で行われた職場集会では参加者は営業所全体の半数以下である60名程度であり、組合幹部は労働協約に関してもなんの説明もしなかった。
もっと組合員一人一人の意見が自由に言えて議論のできる機会が必要なのではないか。もっと、もっと、具体的に例を挙げて話し合う必要があるのではないか。
“賛成”なのか“反対”なのかとしきりにあおる一部の組合幹部であるが、判断に至る過程が空っぽである以上、機が熟していない、そう、思えてならない。

image


そもそも西東京バス労組は、多摩バス分社化という合理化提案を呑む事によって弱体化され、その事によって新西という安い労働力も生まれている。それどころか“自分たちの労働条件だけ守れればいい”と安価な労働力を容認して来た事が、労働運動にも支障をきたしている。自分たちの要求もろくに出せない状態である。一部の組合幹部が経営になりきり、労働者への労務政策を先頭をきってやっている。日本の、いや世界の労働組合運動自体がこういった腐ったものに衰退している。しかし、これでいいとは思わない。
闘わない組合と統合する事が本当に良い手段なのだろうか? スケールメリットと大宣伝しているが、闘わない組合同士が一緒になって組合員の数を増やしたところで、まともな労働組合運動が出来るだろうか? 問題は、組合が別々になっている事でも、その組合を一緒にするという事でもない。闘うということは、いま置かれている自らの状況と真摯に向き合い、会社と独立した労働者の立場から主張し、自らが主体となって行動できる組合になるかどうかという事だろうと思う。
現在、組合統合という方向性で一部の組合幹部は着々と話を進めているが、これが果たして、組合員の将来に向けて得策と言えるのだろうか? 副委員長茂木氏の言う、スケールメリットとは果たして何か? スケールメリットがあるのだとすれば、とっくに具体的に明言している筈である。スケールメリットと大声で言うのだが、どの様にスケールメリットがあるのかは多くの組合員には一向に見えて来ない。

image


「多摩の組合は会社にまともに相手にされない。少しでも話が進む様に、西東京バス労組に入ってやった(運動した)方がいい」との意見があるが、会社がまともに相手をしなくなったのは多摩バス労組に責任がある。まともな取り組みをせず、会社の言いなりになって来た事の代償である。そして、西東京バスとて多摩バス労組と変わらない。これまでの経緯から眺めてみても、現状でさえ会社提案をそのまま呑むあたり、組合としての姿勢を転換したとは到底思えない。
それどころか、組合員から「最近、会社はあらゆる事で文書を掲示して懲罰を促しているがどういうことなのか」との質問に、組合幹部が「真面目にやらない奴は辞めてもらうそうです」と平然と答えてしまう始末である。そもそも組合とは、会社とは相反するものである。会社にもの申し、自分たちの地位を確保する運動なのであって、こういう物言いは、およそ組合が言う事とは思えない。こんなトンチキ経営の様な事を言う組合と一緒になったところで、我々の困窮した労働条件は改善されるだろうか? 疑問である。
いま我々に課された課題は、少しでも多くの材料をもとに徹底的に議論する事ではなかろうか? 西東京バス労組及び多摩バス労組の一部組合幹部はスケールメリットーと騒ぎ立てること以外に具体的な材料を一切組合員に明らかにしていない。我々は材料もないまま議論する事など出来ない。議論しないままに組合統合など、するべきではない、と思うのだが如何だろう。


image

■「あと5年もすれば良くなる」と言われたけれど…

当時、古賀取締役から「あと5年もすればみなさんの働き方は良くなるよ」と言われ、純粋な人達(運転手)はその言葉を信じて日々のバス運転業務を頑張ってきた。また、当時多摩バス労働組合委員長だった坂本絹男さんは、次々と入社してくる運転手に「多摩バスはこれからどんどん大きくなる、みなさんで良い会社にしていきましょう」と言っていた。
そんな言葉にささえられて、生活が厳しくても、自分の休みを返上して公出して頑張ってきた。家族と一緒に過ごす時間も欲しいけれど、ただでさえ不規則であるバス運転業務は思いどおりに時間は取れなかった。いやむしろ家族のために自分の体にムチ打ってでも稼がないと…そんな思いを抱きつつ働いてきた運転手が多いと思う。
会社は、「あなた達は条件をわかったうえでこの会社に入社してきたんでしょ」と言うけれど、一方で待遇の違う人たちもいる。それは多摩バス会社に入社してしばらくしてからわかってきたことだ。多摩バス乗務員が増えはじめた頃、西東京バス乗務員からは「俺たち(西東京バス乗務員)の職場が危うくなるかも」との思いからとも受け取れるような扱いを受けたこともよくあった。例えば、バス運行中に後ろからバスであおられたり、何をやるにも多摩バスは西バスに譲り後回しで、同じ屋根の下で働くには入っていき辛い空気であった。そんな扱いを諸条件の違いだけではなく味わってきた。

■一方は厚待遇。他方は切り詰めてやっとの生活

時が経過し、多摩バスは人数も増えて西東京バス乗務員たちは、多摩バス乗務員の気持ちがわかってきたからなのか、多摩バス乗務員への対応もやわらかく変わってきたように思えなくもない。そしていま、多摩バス労組と西東京バス労組は一緒になるかどうかで揺れている。
既存西東京バス乗務員の人達は自分たちの将来も含めどう思っているのだろうか?ますます自分たちも厳しくなってくるかもと危機を感じているのではないのだろうか? 西バス労組は「自分たちの待遇を削ってでも現在の多摩バス労組組合員の待遇を改善し向上させる」と言っているけど本当だろうか? 人は皆自分がかわいいと思うから、自分たちの労働条件を守ることに必死になるんじゃないのか? 西バス労組の「自分たちの待遇を削ってでも現在の多摩バス労組組合員の待遇を改善させる」ということを信じていいのか?…でも何も具体的なことは示さないでスケールメリットと言うばかり。人数が増えて大きくなれば何とかなる的なのであるが、こんな単純な考え方でいいのか!? 自分たちの将来がかかった大事な問題なのだから。
一方の西東京バスでは退職金あり保障ありの厚待遇。一方多摩バスは保障なし、ないないだから将来に向け貯めるなんて出来ないし、切り詰めてやっとのことで生活している状況。この差はなんなのか?

■「騙した会社が悪いのか、騙された俺が悪いのか」

そういえば、高速・貸切バス存続のため西東京バスの運転手やガイドさんが多摩バスに転籍してきたけど一年足らずで観光バス部門はポシャリと清算された。その間、ガイドを続けるために多摩バスに来たはずのガイドさんは五日市で車掌をやったり車庫間送迎運転手をやったりしていたんだけど、その多くは自主退職していった。運転手も路線バス運転手に移行するか自主退職した。
当時の様子は「(現場の声)騙した会社(と一部組合幹部)が悪いのか、騙された俺が悪いのか」にあらわれている。これは一体どういうことだったのか? 将来に向けてキチンと話し合って進められたことだったのだろうか――観光部門の清算はほんの一例に過ぎないがこんな経過を辿ってきたのが多摩バスである。


image

かわら版第21号 無内容な”スケールメリット”の空叫びで組合統合??

労働者の立場から主張し、行動できる労働組合にしていこう
--そのための徹底した議論を!




かわら版第21号のダウンロード

2010年9月25日土曜日

かわら版第20号(Web版)

image

9月中数日間行われた職場集会の席上、西川黒田執行部は組合員に対しておよそこんなふうに訴えた。
「私たち多摩バス労働組合だけではもう限界です…会社は労働条件の変更について、私たち(西川黒田)、執行部に何ひとつ提案もせずに、決定事項としての通知しかありません…この先、多摩バス労働組合が今のままでいても意味がないと思います…西東京バス労組と統合すれば労働条件が向上することについて望みが出てきます…統合するなら今しかありません…重責である副委員長ポストとその他執行委員ポスト2つを西東京バス労組は用意してくれるのは今だけです…」と。

image


「決定事項の通知しかありません」と言うが、実のところ「決定事項の“通告”しかない」というべきだろう。組合員から「それに対して何をしたのか?」の問に西川黒田執行部は「“おかしい”と伝えました」と応答。
この職場集会には西東京バス労組田辺書記長も出席したのであるが、この田辺書記長には、組合員から種々の質問が行われた。
「組合統合について多摩バス労組から何も知らされていないのに西バス労組職場集会で具体的に解散の話が出たのはどういうことなのか」「組合統合以前に庄司メール問題はどうなっているのか。それもやらずに統合の話にはならない」等々。
時折り返答に困った田辺書記長は「すみません…多摩サンの問題は勉強不足でしてわからない点も…」ととぼけてみたり、そうかと思えば、ほとほと困ったふうな装いで「私たちのやっていることは労働運動としては間違っています…」などと返答する場面もあった。
組合統合に向けての職場集会で「(私たちの労働組合は)労働運動としては間違っています」とのことである。仮にそう自覚しているのだとしたら、何についてどのように間違えているのか、まずもって明らかにする必要がある。つまりそれ自体、労働組合を構成している組合員の利益に関わる重要な事柄であり、決して無関心ではいられないからだ。組合員は組合費を納めるためだけの「組合員は…“スポンサー”…」(庄司メール)ではない。

image


振り返ってみれば、これまで西東京バス労働組合一部執行部は、会社提案である合理化を認め続けてきた(この間の西東京バス定期大会議案書はぜひとも参照していただきたい)。すなわち、

  • 分社化を認め、
  • 違法状態でのバス営業運行を認めてきた。
  • 事故が多発するほどの悪辣極まりない労働環境である多摩バス会社を認め、
  • そればかりか西東京バス労組はその後も安価な労働力である新採用西東京バス運転士を、しかも同じ組合員の中に別基準(差別的基準)で認めてきた。
  • 労働者管理のための多額の設備投資である、車内カメラ(ドライブレコーダ)やデジタコの導入はその運用について多々疑問の声が上がっているがこれらを認め、
  • 工場労働者の所定労働時間も低賃金でありながら延長した。
  • さらに現在に至っては高速バス運転士の地方採用についても、ますますというべきか安価な労働力としての地方労働者の採用をあっさりと「認めさせてもらいました(職場集会における田辺勉談)」と言う―――。


西バス労組が「労使協調」という名のもと次から次へと会社提案を認めてきた(西川・黒田も同様)この10年間において、一体何がどのように変わったのだろうか。すなわち、同一資本のもとで働く労働者間において、賃金の差別化だけではなく、働き方・働かせ方において、「基準」という「基準」がズタズタに破壊され、矛盾に満ちた労務政策がおこなわれているのが現状である。
8月から支払われた「通勤費」(多摩バス会社はこれまで交通費を支払っていない)についてもその支払い方法は西東京バスと多摩バスでは差が生じている。出向規定で定めている「通勤費は出向先に準ずる」に違反し、西東京バスに支払ってきた期間につき多摩バスでは支払っていない。そもそも「月」当たり数百円ぽっちで「通勤費」なのか!?原付バイクでも一回満タンにできるかどうかだ。
結局のところ、西川・黒田執行部及び西バス労組田辺書記長は、組合統合に関する現場労働者の働き方・働かされ方のあらゆる矛盾について、これを組合員が吟味・検討するための具体的判断材料は何ひとつとして示さず「統合してから考えます…」と言うのみであった。

image


今年の猛暑始まる7月2日のこのことである。「階段でつまづき足を重傷(会社掲示文書)」と公傷で欠勤していた庄司航は、翌3日、エルシィービアガーデンで他執行部らとともに会社本社連中と酒を交わしていた。毎度のことながらホテルや料亭で会社と酒を交わしながら己の将来の安泰でも乞うていたのだろうか。「決定事項の“通告”しか出さない」会社連中とどんな話をしているのだろうか、わからない。


西東京バスと多摩バスでは労働時間を構成する基準が違う。多摩バスには「労働時間」の基準がないから、「○休」などといった意味不明(違法)の休憩がある。同じ会社で同じバスの運転をしているのだから、「同じ基準」での働き方を求めるほかはない。
西東京バスと多摩バスとでは賃金制度はおろか評価制度が異なり、評価の基準も違う。かといって、この点を曖昧にしていたら今後も会社の恣意的な評価が横行することとなり、差別的不合理な働き方・働かされ方が改善することはないだろう。

image


2010年9月2日、43ダイヤ12時10分繊維団地発京王八王子駅行を運行していたY運転手のバスに丸山荘社長が添乗し、添乗報告としてY運転手に次のようなクレームを入れた。

  • 「“7分も遅れているのになんで扉をすぐに開かないのか”と言ってるお客様がいた」、
  • 「エコドライブを口実とした意図的遅延行為である」、
  • 「…自販機で購入している人を待つ」、
  • 「肉声アナウンスを自動放送にかぶせた」等々。

丸山荘社長は彼自身の添乗結果報告を通して、Y運転手の接遇に関してクレームを付けたが、そのクレームその一つ一つを吟味すれば、事実認識の上で誤っており、従ってそのクレームもまた方向ちがいであり、これはこの多摩バス会社における添乗評価制度が極めて恣意的であり合理的客観的評価とは無縁であることを社長自身が鮮明に物語っているに等しい。
運転技術に関して言えば、Y運転手が停留所に近づき歩いていた人を乗客かも知れないと思い停車したところ、その人は停留所側の自販機で飲料水を購入するためであった。
この件につき、丸山荘社長はおよそこんなクレームを付けた。

  • 自販機で飲料水を購入するだけのことであり、その人がバスに乗る人でないことぐらい、ベテランの運転手なら素早く見極めることができるだろう。
  • たとえ一旦停留所で停車させたとしても、ベテラン運転手ならバスに乗る人かどうかを素早く見極めることができるのだから、わざわざドアを開けてマイク案内をする必要はなかっただろう。

この丸山荘社長のクレームは現在の評価制度の運用とあまりにもかけ離れている。この停留所に近づいてきた人を乗客でないとY運転手が一方的に判断し通過した場合、仮にその人がバスに乗る予定だったならば必ずやクレームが生じただろう。このようなケースの場合、運転士が一方的に判断したことのみが非難の対象となり、弁解の余地なしである。さらに言えば、一旦停車した限り、ドアを開けマイク案内することも評価制度上求められていることであり、これを欠けばマイナス評価である。
この多摩バスにおける評価制度が種々の矛盾を抱えているのも事実であるが、それはともかく、具体的にどのように運用されているのか、この点につき社長たる丸山荘が把握していないことには驚く。


image

  • 「西東京バスにはダイヤ編成基準がある。多摩バスに基準はない」
  • 「折返し運行待ち時間が多摩バスは○休だけど、西バスは労働時間としてカウントされている、なぜ?…中休手当ても多摩バスはない…」
  • 「西東京バスは一日の所定労働時間は7時間50分。多摩バスの一日は16時間で所定労働時間という基準がない…」
  • 「西東京バスと多摩バスは評価基準が違うじゃないか、多摩バスには基準がないも同然であり、あまりに不合理…」
  • 「接遇評価は、西東京バスと多摩バスとの間で基準が曖昧不明瞭(一言でいうと甘い辛い)である」
  • 「そもそも添乗結果が賃金に与える影響が違う。評価制度が異なるため、同じ点数であっても西東京バスでは賃金にあまり影響を受けないわけだけれども、その反対に多摩バスの接遇評価は制度上、業績年俸や昇給に大きく影響する」
  • 「西東京バスは、表彰制度があるが多摩バスにこのような基準はない。接遇評価されると金一封。その他にも永年勤続表彰や優良運転者表彰として社長表彰、部長表彰もある」等々。

image

9月18日、合同労組八王子と三多摩労組交流センターは、2007 年に不当解雇されたNさんの解雇撤回を求めて、西東京バス恩方営業所と西バス本社に、抗議の申し入れを行った。試雇期間とはいえ、簡単にクビにされてたまるか!多摩バスは設立以来、入社した400人中180人も退職に追い込んだあくどい企業だ。労働者をなめるんじゃない! 解雇撤回の気迫のこもったシュプレヒコールが叩きつけられた。

かわら版第20号 賃金制度、評価基準、労働時間構成も違ったまま組合統合??

矛盾・不合理を会社のいいなりで認めてきた組合どうし「統合してから考えます…」では済まされない!!

2010年8月22日日曜日

かわら版第19号(Web版)

image

image

 

平成19年3月、国土交通省自動車交通局及び自動車運送事業に係わる交通事故要因分析検討会は、「バスの車内事故を防止するための安全対策の提言」を発表している。この提言は、平成17年の交通事故要因を分析したうえで発表されているところ、平成17年のバス事故件数は、年間3833件で、車内事故は、その3割の1231件である。したがって、車内事故を防ぐよう事業者が努力するのはもちろんのこと、車内事故を防ぐための策が、バス事故の7割を占める車外事故を誘発しないように留意するのは、当然のことである。しかしながら、多摩バス(といっても職場は西東京バスだが)は、運転の最中に頻繁に過剰なマイクアナウンスを強要し、これを裏面添乗員にチェックさせ、評価制度による安価な労働力を作り出す為の技巧として悪用したり、ダイヤ改「正」の度にますますゆとりのないダイヤを編成し、とことん運転士の労働強化を行なっている。
このような働き方・働かされ方は、運転するものの「安全運転義務」を阻害しているといえないだろうか。専門家が行ったアンケートによれば、多くの運転士は過剰なマイクアナウンスを行うことにバス運転上の危険を感じている。実際、事故の件数にも差が生じているというデータがある。すなわち、過剰なマイクアナウンを頻繁に行う運転手は、それを行わない運転手と比較して事故が多いのである。
当然ながら、車を運転するからには、仕事であろうが、プライベートであろうが、安全運転に努めなければならない。そこで会社の指揮命令が「安全運転」に支障をきたすようであれば、その指揮命令は交通労働者にとって不適切といえるであろう。

image

 

会社は、国交省の許認可を受けバス事業を行っているのである。その上で道路運送法から逸脱することは許されない。
道路運送法「第1条(目的)この法律は…道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし…輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする」、旅客自動車運送事業「目的(1条)この省令は、旅客自動車運送事業の適正な運営を確保することにより、輸送の安全及び旅客の利便を図ることを目的とする」、輸送の安全(2条の2)については、「旅客自動車運送事業者、経営の責任者の責務を定めることその他の国土交通大臣が告示で定める措置を講ずることにより、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない」のである。
旅客自動車運送事業者は、過労の防止を十分考慮して、国土交通大臣が告示で定める基準に従って、事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間を定め、当該運転者にこれらを遵守させなければならない。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」には、①1日の「拘束時間」は13時間以内を基本とし、最高16時間、15時間超は1週間2回が限度であり、②1ヶ月の「拘束時間」は原則293時間を超えることはできない。1年間の拘束時間の合計は3516時間という上限があり、293時間を超えることができる月は6ヶ月以内とされている。③1日の運転時間は2日平均で9時間以内、2週間を平均し1週間当たり44時間以内とされ、⑤連続運転時間は4時間以内等々と定められている。
しかしその実態はと言えば、以下毎日新聞(07/2/21)より

「厚生労働省の立ち入り調査で、労働基準法などに違反するとして05年に行政指導を受けたバス会社が全国で85社に上ることが分かった・・・00年に比べて、4倍以上に増えた・・・同省は毎年、内部告発や違反歴などを参考に、各地の労働基準監督署を通じてバス会社に立ち入り調査を実施。05年は調査した118社のうち85社が、労働基準法や労働安全衛生法などに違反していた・・・05年の主な違反内容は、労働時間(週40時間など)に関するものが56社、割増賃金関連が31社、休日関連が8社だった。また同省が自動車運転手の拘束時間などを定めた改善基準告示についても、70社が違反していた。内訳は、▽1日最大拘束時間(16時間)違反52社▽休息時間違反26社▽連続運転時間(4時間)違反15社、などだった」。

違反を繰り返し、潜脱行為を行なっているのは、なにも多摩バス(西東京バス=京王)だけではなく、今日、多くのバス会社の実態である。本来、労働組合が独立した立場から会社運営をチェックするという重要な役割を果たすはずなのだが、組合幹部どもは自己保身のため、「労使協調路線」と叫んでは労働者を欺き、会社計画を次から次へと認めるばかりである。
会社の言いなりとなって、「指導担当員」となったり、わずかの改善を得ようとするやり方では、決して安全を守ることはできない。

image

 

つい先日、西八王子駅付近の甲州街道でバスを待機させ、発車の際にバック事故があった。当該指導員運転士は会社から指導員を解任されたようである(会社側掲示文書)。指導員を解任された運転士は「潔く自ら指導員を辞任した」と言っているようである。おいおい、これまたヘンな話じゃ~ないか。なぜなら、指導員は事故が起きたら指導員を辞めることになっているのか? そんな慣習もなければ社内規則も聞いたことがない。現に事故を何回も起こしている指導員だっているではないか・・・。
そもそも、事故というのはその時の状況を多角的に吟味・検討する必要があるのであり、これさえやらずに、事故を起こしたから「潔く」指導員を降りるというのは、当該指導員の言う、果たして「潔い」ことになるのであろうか。極めて疑問である。指導員という立場・地位であればなおさら事故を分析する技量や見識が求められるのではないか。
①これまで苦情や事故が生じている甲州街道での待機は問題である。②会社はバックカメラのないバスを配車し、ワンマンバスを国道で後退させることは問題である。③会社は西八王子駅近辺で生じた事故について再発防止に向け具体的にどのように対応してきたのかが問題である。④会社都合で作るいびつなダイヤ編成が問題である等々、指導員であればこそ今後の事故防止に向け事故を多角的に分析し、検討しなければならないのであって、解任したからとか、自ら指導員を降りたから済む話ではない。

image


このような問題は、多摩バス(西東京バス=京王)の安全性に対する姿勢を表しているものと言える。
ついでに言っておくと、この指導員は元委員長の鈴木義則氏である。忘れてはならないのが、当時、「事故処分基準」について、事故による損害金額を処分基準にするといった会社提案を容認した張本人である。だとすると、鈴木義則氏には、事故の状況を多角的に分析するというプロセスを経ることの重要性について理解することは、ちょっと無理難題なのかもしれない。結果とカネにしか興味がないのだから…。
バスの車内に取り付けられた防犯カメラは、運転手の様子を覗き見するばかりではなく、乗客やバス停でバスを待っているお客さんや通行人の姿も記録している。高尾北口やグリーンタウン高尾や繊維団地などのバス停には、高性能(暗くても映る)小型カメラが設置されており、バスを待っている乗客の姿を記録している。営業所のパソコンの画面にはバスを待っている乗客の映像がリアルタイムで映し出されているのである。
多摩バス(西東京バス)では年間およそ300件の事故が起きており、中でもバック事故が相次いで起きているという事実がある。しかしながら、会社は事故防止、安全性からバスにバックカメラは装着しないけれども、防犯目的と言いつつ何倍もの費用をかけて車内防犯カメラを設置するのである。その他にも営業所のいたるところ、車庫のいたるところに監視カメラを設置している。まるで囚人を監視しているようでもあるが、支配の道具として、労働者を監視することにより、萎縮させ、物言わぬ労働者を作ることが狙いではないか。

image


7月28日、休憩中のIさんは、吉田所長から「出勤停止で60%しか出ていなかった賃金について100%補償する」と告げられた。その翌日7月29日22時半くらいの出来事である。運行中のIさんが高尾駅北口に行くと、西川委員長に話し掛けられ「こないだの質問状の回答(回答期限23日)なんだけど、自分もおかしいと思ったから、黒田に交渉させてるから多分100%で補償されると思う」と言うのである。今更ながら西川委員長が何をおかしいと思ったのか意味不明であるし、会社から言わされているのかはともかくとしても、Iさんは「すでに直接会社から100%補償すると聞いていますよ」「私から組合に提出した文書の回答については文書でしてくれませんか」と応答した。なぜなら、Iさんは組合に対し、賃金についてのみ異議を唱えているのではなく、組合員の生活に真摯に向き合うよう求めているのである。そして今回、Iさんに対する自宅待機及び出勤停止処分は、Iさんのみならず、他の組合員にも同様の事が言えるからである。会社が貼り出した懲戒処分者の欄には、Iさんは職務怠慢と書かれているが、Iさんの職務怠慢が原因で種々の問題が発生している訳ではなく、これは運転士の働き方・働かされ方の問題である。会社は全ての責任を、労働者に転嫁しているだけである。第一、西川が今回の出勤停止はおかしいと言ったが、おかしいと思えばIさん自ら会社に文書を提出する以前に、組合として取り組むべきである。組合活動の一切を一組合員がやっているのであるから、西川・黒田執行部は労働組合としての職務をまっとうしているとは到底いえない。


image

8月19 日、恩方営業所4階会議室で西バス労組の職場集会が行われた。その席上、多摩バス労組は10 月1日に解散し、西バス労組と統合するといった内容が伝えられた。
西川・黒田執行部は組合員に向け、まったく、なんら説明すらしていない。にもかかわらず、あたかも決定事項として解散・統合という言葉だけ、その中味がからっぽのまま、一人歩きしているのである。西川・黒田の公約は、「転籍に向けて労働条件の向上に取り組む」ことのはずである。これではまる投げではないか。
そこで、私たちは間違ってはならない。「組合統合」それ自体が問題ではないということである。問題は、具体的問題を取り上げ、追及する姿勢のない、多摩バス労組「労使協調路線」と同じく西バス労組「労使協調路線」とがこのまま統合したとしても、さらなる「労使協調路線」しか生まれないだろうということである。

2010年8月21日土曜日

かわら版第19号 「労使協調路線」では、組合統合しても意味はない!

安全よりも労働者の監視を優先-こんな会社の言いなりでいいのか! 闘う労働組合につくり変えよう!

2010年7月17日土曜日

かわら版第18号(Web版)

image

会社はIさんを5月17日に2件の苦情が来たと呼び出し、5月21日にダイヤから外し、事情聴取を行った。この事情聴取を通して、どんな事実を確認したのか、どんな事実を確認しようとしているのかを明らかにすることなく、会社はIさんを5月21日以降自宅待機処分とした。
6月2日には自宅待機から、「出勤停止」(6割の賃金)に切り替えた。6月9日、賞罰委員会を開催し、Iさんに懲戒処分「停職4日」を申し渡した。停職処分が解けたIさんは、6月19日に会社に出勤し、就業規則に則って、賞罰委員会による再審請求を行い、加えてこの間の「出勤停止」の扱いに対し異議を申立てた。この会社では、通常の乗務をしていながら賞罰委員会の処分決定を待つ、といったケースが大半である。ましてや、賃金の6割というのは事実上の賃金カットであり、長期間の出勤停止命令に異議をとなえたものである。

image

 

ところが会社は、再審請求および異議申立てをしたIさんに対し、既に停職処分は解けているにもかかわらず、「出勤停止と懲戒処分をもって対応したが、まだ反省が見られない」などと言い、再び「出勤停止」とした。賞罰委員会を開催するまでの間、出勤停止にするというのは、事実関係の調査を行うために会社が設けたものであることは想像もつく、しかしながら、停職処分が解けて、なお出勤停止にするというのは、不当であること極まりない。
さらに、6月24日、会社は突然Iさんを呼び出し、その際、吉田所長と岡戸労務担当は「再審結果に変更はなし」と告げるのみで異議申し立てについてはなんら解答しなかった。そればかりか、またまた3度目の「出勤停止」を言い渡したのである。誤解のないように言っておくと、一つの行為に対して、「自宅待機命令」および3度の「出勤停止命令」が下されたのである。この「出勤停止」は会社規定のいかなる条項に基づいてなされたのか、大いに疑問である。再審請求をしたら「出勤停止」なるというような事例がこれまでもあったのか、大いに疑問である。賞罰委員会の判断に対し再審申請した場合、会社から、これを理由に「出勤停止命令」を受けるとなれば、一審の判断を結果的には会社が一方的に強制すると同様になるではないか、どうなっているのか!?
多摩バスで働く(―――とは言っても、労働現場は西東京バスだが)みなさん、おかしいとは思わないか。

image

 

今回の処分のキッカケ、原因は2010年5月17日に寄せられた2件のクレームである。そこで2件の苦情内容を整理し、明からにしてみよう。何が問題か!!それを明確にするための私たちの出発点はここからだ。1件目は、(1)バスの車内放送(自動音声)が聞き取れなかった、というものであり、(2)マイク案内もしていなかった、というものである。
これだけ読めば、“ヤバいよ”“ちゃんと、やんなくちゃ”と思いかねない。だが、クレームをよく聞けば、あるいはよく読めば、(1)車内放送に関しては、クレームを寄せた方が聞こえなかったというのではなく、仮に、八王子の町に不案内な客が乗車していたならば、聞こえにくく困ったであろうとのことで、クレームを寄せた方の思い、心情、推測が主たる内容だったのである。
2件目は、(2)運転手がマスクをしており不快であった、とのことで、クレームを寄せた方の思いを述べたものであった。決して、乗客の多くが不愉快な思いをしたという内容ではない。
ここで私たち、バス労働者は決して間違ってはならない!!今日、乗客のみなさんから多くの苦情が会社に寄せられているのは周知の事実である。だからといってそのお客様たちに対し理不尽であるとか、身勝手過ぎる、などと非難してはならない。そこからは問題は明確にはならず、解けもしない。問題は、お客様からの数々のクレームそれぞれが何に起因しているかにつき腑分けすることなく労働者を非難する手段として意識的に利用している会社の悪辣な労務政策にあることを私たちは見抜いておかなければならないのだ。
バスに装着された車内外音声機器に関しては音量が大きいとか、小さいとか、Iさんに限らず苦情が寄せられているのは誰もがご存知の周知の事実である。にもかかわらず、会社はこの点につき考慮することなくIさんに「自宅待機処分」及び3度の「出勤停止命令」を下した。あまりにも均衡を欠いているではないか。配慮すべきことをあえて配慮せず、処分を強行するこのやり口、Iさんに対してのみならず、労働者支配の手法としているのが、この会社のおぞましき特色だ。しっかと見抜いておこう。

image

 

車内マイクアナウンスについては、バスを安全に運行するためには会社の求める水準を守ることは不可能であること、運転士なら誰でも経験的に知っていることである。ましてや事故が多発している労働現場である。長時間におよぶ乗務が常態化している労働現場である。多くの運転士が過剰なマイク操作により事故が誘発されないかとおそれている。このような状況を考慮しないのか!!安全に旅客を輸送するという義務を負っているバス会社にとって、必要なのは安易な労働者の処分ではない。まず、労働者の声に耳を傾けろ!!マイクアナウンス等「接遇」に関して真摯に話し合え!!「クレーム」の吟味の仕方、処理の仕方について真摯に話し合え!!「クレーム」と評価制度の関係について真摯に話し合え!!

image

賞罰委員会の開催される少し前(6月4日18時17分)に執行委員庄司氏からIさんにとんでもないメールが飛び込んだ。メールの内容を読んでみると、今日の、この社会の、労働組合という仮面を装いつつその仮面の裏に潜むゾッと寒気のよだつ本性を垣間見ることができるのではないだろうか―――
「助けてくれと聞こえましたが」「金を頂いてる以上はスポンサーなんで、やるべきことはやります」「個人的には殺したいですよ」「Iみたいな奴は情状酌量の余地もないし、組合に批判的?なんで、」「停職あたりで抑えれば、うちらの勝ちです」「とりあえずY一派の懲罰委員会は楽しんできます」「一派の人間に何か聞かれたら組合は動いてると伝えてください」等々。
――これは執行委員庄司氏のメールに書かれていた言葉である。

image

 

「賞罰委員会」は事実関係や客観的な資料に基づき労働者の不利益に関して審理・審議する場である。こんな「メール問題」があった以上、公正な審議は、これっぽっちも期待できないであろう。その結果が先に述べたIさんの扱いでもあるからだ。西川・黒田執行部は、この「メール問題」につき執行委員会として調査し、その上で問題が明らかになるまでの間、庄司氏は賞罰委員会の構成メンバーからは外すべきであった。しかし、西川・黒田執行部は、賞罰委員会を庄司氏を参加させ強行した。これが公平な審議を阻害していると言わないで何と言うのか。
ところで、執行委員庄司氏は、「メールは俺(庄司氏)が送ったけど、内容を書いたのは俺じゃやりません」とか「俺はメールを転送したんです」とか「私の携帯に保存されたメールは全部消しました」とか「俺は、誰かにはめられたんです」とか「以前から知らない人からメールが送られてくるんです。犯人を捜しています」などと言う。
しかしながら、執行委員庄司航氏の発言は、それ自体、証明するための客観的具体的資料は皆無である。証明する方法があるにもかかわらずこれを一切やらず、「俺じゃない」と言い募るは、赤子同然であり、怒りを超えて呆れるばかりである。
また、仮に転送したのであればメールタイトルに「FW」が付くところ、送られたメールにはそれもない。転送するのにわざわざ「コピー」して「貼り付け」という面倒な作業をしたのだろうか? その他にも、犯人を捜していると言いつつ、手がかりとなるはずの肝心のメールは消したと言ってみたり・・・。

image

 

最近、自主退職した3名についても、多摩バス労働組合がどの様にその問題に取り組んだのか、明らかになっていない。たとえドジやヘマがあったとしても、労働組合という立場から言えば、一歩でも労働者を守る取り組みをしなければならない筈だ。少なくとも労働組合としてどう取り組んだのか、そしてどう不可避な状況に追い込まれ、仲間である組合員が自主退職せざるを得なかったのか、組合員に明らかにする必要があるだろう。「個人情報だから」などと言ってのけ、なにも語らない労働組合など、信用出来ない代物だ。労働組合がどう取り組んだのか、労働者に見えなければ、もし自分が同じ状況になったらどうなってしまうのだろう、と考えると不安になってしまう。こんな職場では、安心して働くのは不可能である。
賞罰委員会の審議・審理が公平になされることは到底期待できない状況であり、労働組合および組合員にとっても自らの利益・不利益の観点から言って到底見過ごすことはできない重大事であっても、平然と強行する西川・黒田執行部は、これまで公正な「賞罰委員会」の運営を行って来たのだろうか―――組合員は、西川・黒田組合執行部の見解を問うているのである。
組合執行部は、この「メール問題」について調査・協議しているのか?また、Iさんが組合執行部に対し、マイクアナウンスの安全性に関して、ドライブレコーダーの公正な使用に関して問題提議した「申し入れ書」についても、協議しているのか? 多摩バス労働組合の真摯な対応を願うものである。そもそも、接遇やドライブレコーダーの問題は、労働組合として取り組むべき課題であろう。

image

今回のIさんの処分決定に際し使用したドライブレコーダーによる映像だが、会社は当初、「運転手の身を守る為」と言っていた。つまり、事故や事件が起きた際、社員が不利にならぬ様、データを開いて証拠にするのである。
ところが今回のIさんのケースでは、その仕事ぶりを見る監視カメラとして使っている。自分の仕事を四六時中、監視カメラで監視されたのでは、息も詰まり仕事にならない。路線バスには、不特定多数の乗客が乗る訳で、全ての乗客が満足して降りる事が不可能であることはみなさんご存知の通りである。様々なトラブルも起こる。その一々にあらを探し、処分されたのでは仕事にならない。今後も労働者支配の道具としてのドライブレコーダー使用が予測される。労務管理の為にむやみにドライブレコーダーのデータを開くのはナンセンス!である。
かの尼崎の福知山線脱線事故に見られる様に、過剰な労務管理により、労働者の誇りは失われ、事故を起こす。福知山線脱線事故の当該運転士も、日勤教育を受け、追い込まれた状況であった。脱線事故当日も3回のオーバーランを繰り返しており、「次ミスしたら」との思いにかられ、そして減速しないまま急カーブに差し掛かった。運転業務の天敵、潜む危険は「考え事」である。運転手はミスを責め立てられ、追い込まれる。「次ミスしたら、自分の生活どうなるか分からない」などと考えてたら、安全運転など出来る筈もない。
接遇を過剰にやらせる事は、危険を招く。道路交通法上の安全運転義務を課せられ運転をしている運転手は安全に運行できるよう常に判断せざるを得ない。危険にさらされ、事故や違反があれば罰を受けるのは運転手である。

かわら版第18号 「自宅待機」「停職4日」そして3度の「出勤停止」! I さんに対するあまりにも理不尽な処分を徹底的に断罪する!

労働者の立場に立った労働組合を取り戻し、悪辣な労務政策と対決しよう



かわら版第18号ダウンロード

2010年6月4日金曜日

かわら版第17号(Web版)

image

image


2010年5月17日のことである。Iさんの乗務するバスに乗車した乗客から苦情があったということから、会社はIさんから事情を聴くため、乗務を変更し、下車勤務とし事情聴取をおこなった。そのなかで、Iさんが弁明した事柄について、文書を作成するよう命じ、Iさんはこれに応じて会社に文書を提出した。
しかしながら、会社は提出した文書を確認するとともに防犯を目的としてバスに搭載された防犯カメラに映ったIさんの乗務するバスの映像を見せて、「マイクアナウンスをしていないでしょ」などと言い、事情聴取後「金輪際、Iさんを乗務させるつもりはありません」「自宅待機してください」と告げ、21日以降、またしてもIさんを自宅待機処分とした。

image


5月27日には、「仕事に対する(やる気があるのか)姿勢を伺う」などと言ってIさんを会社に呼びつけ、「(Iさんの)至らない点で今後精進すること」は何か? といった質問をおこない、至らない点を文書にして書かせて提出させるといった方法でIさんを追いつめた。
さらにそれだけではあき足らず、会社は6月2日にIさんを会社に呼びつけ、就業行規則87条の懲戒事由に該当する所為が認められたなどと言い、一方的に「出勤停止命令」を出すまでにおよんでいる。
このやり口、実に奇妙である。
そもそも今回の件は苦情が寄せられたことによるものであって、Iさんのやる気云々の話ではない。まして懲戒処分などもってのほかで、会社はいつの間にか問題をすり替え「出勤停止命令」まで出すといった決して穏当ではない行為に及んでおり、悪意に満ちているとしか思えない。

image


そもそも、2010年5月17日に寄せられた2件の乗客からの苦情内容を整理すれば、
1件目は、
①バスの車内放送(自動音声)が聞き取れない
②マイク案内をしていない
③なお、車内放送に関して言えば、クレームを寄せた方が聞こえなかったというのではなく、聞こえなかった人がいたら困るだろうというクレームであり、寄せてくれた方の推測である。
2件目は、
①マスクをしており感じが悪かった
というのが主な内容であり。乗客の多くが不愉快だったという内容ではない。

image


1件目についてIさんは、
① 再発防止のため、どの程度の音量にダイヤルを合わせればよいのか、会社に具体的な基準の教示を仰いだところ、会社は「車内放送に関する音量には基準がない」とのことで、なんら具体的客観的基準は示されていない。つまり、会社はどの程度の音量に合わせるのかについては運転士の感覚に求めているのである。
加えて、今回の苦情について言えば「車内放送が聞こえないからバス停で降りられなかった」という内容では決してなく、クレームを寄せたお客様が具体的な不利益や被害を被ったというものではないのである。
さらに言えば、バスに搭載された車内外音声機器の音量が大きいとか小さいということで、Iさんのみならず苦情が寄せられている事実もあるのである。
② 車内マイクアナウンスについては、安全にバスの運行をおこなうため、運転の最中に会社の求める車内アナウンスが出来ない場合もあること、その中で可能な限りのマイクアナウンスを行っていること、ましてや事故が多発している職場の実態からしても運転の最中に行う過剰なマイク操作は危険であること、さらには長時間におよぶ乗務のため肉体的にも疲労しており、運転の最中の過剰なマイク操作は事故を誘発し危険であること、このような現状を直視すれば、本来安全に旅客を輸送するといった義務を負っているバス会社なのであるから、マイクアナウンスの使用方法について早急に従業員の意見に最大限耳を傾けつつ、労働組合と検討すべき課題なのではないか。
2件目については、
① 運転中のマスク着用に関してのものであるが、点呼時に会社の許可を得て着用しているものである。
Iさんに限らずとも他の運転士もマスクを着用しているにもかかわらず、たまたま、マスク着用について不快感を抱いたお客様からクレームがあったとはいえ、これを理由に自宅待機処分・出勤停止処分をなすことは均衡を欠いているとしか言いようがない。

image


会社の評価制度は、「勤怠」・「接遇」・「事故」といった三本柱によって構成されている。これらのうち、勤怠と事故については客観的資料に基づいて評価・判断が可能であるが、とりわけ接遇に関して言えば、評価の仕方は極めて曖昧になされている。例えば、「裏面添乗員」による添乗結果は、複数いる添乗員によりまちまちであり、同様の接遇を行っても結果にバラツキがある。さらに添乗回数も人それぞれであり、査定期間中、過去およそ60回添乗されている運転士もいれば一度も添乗されない運転士もいるほどである。しかも何回添乗されたかについては会社から教えてもらうしか方法がないため、運転士にはわからず、会社の極めて恣意的な運用がなされている部分である。
すなわち、3本柱のうち、「接遇評価」については、会社の腹しだいの評価による査定が可能であり、運転士の昇給を調整するための調整弁の役割をなしているのであろう。
「接遇評価」の善行や苦情の項についても、これらを寄せる乗客には客観的基準などなく、その時の気分や感情によって大きく左右されている。したがって、毎日多くの乗客を、また同じ乗客が乗車したとしても、毎日たびたび寄せられるものではない。
会社は、会社にのみ都合のよい、いい加減な評価制度を悪用し、実態すら考慮せず、苦情が寄せられた運転士へ過剰な非難を浴びせるほか脳がないんだから、実に困ったものである。




image

●苦情の内容の煮詰めた論議は行われないんですかね? そうでないとやる気どうこうって話にならないはずなんですがね。一方的ですよね
●添乗は平均点低い人もそうだけど、異常に点数高い人も抜き打ちが乗るとか...
●実際の所は本人しかわかりませんが、マイク使ってないとかは会社が使いなさいと言ってるだけで客側から言われる筋合いはないよね! マスクはしていれば誰でも少しは見られます。客側個人の感じ方なんだから理由にならない。マイク使ってないとかは他にもいるだろうし I くんへの個人攻撃(会社が絡んでいる)としか思えない!
●あまりに酷い対処のしかたに、まさに開いた口がふさがりません...態度が悪いだとか感じが悪いだとか...感じかたは多種多様なハズの内容ばかりで...。とんだ『ブランド会社』ですね...
●こんな事で自宅待機処分になるなら、運転ができなくなる運転手がほとんどになってしまいます。「恐怖政治」ですね、やり方が! しかも、勤務の途中で下車させての事情聴取は、言語道断です!
●事故をしたわけでもないのにヒドイ対応ですね。自宅待機は、懲戒処分です。「車内放送の音量が小さい」「マイクアナウンスをしていない」などの理由で自宅待機処分にする会社に正当性はないと思います。

image

かわら版第17号 「車内放送の音量が小さい」「マスクをして感じが悪い」-こんな苦情を口実に出勤停止処分など言語道断だ!

会社は I さんの出勤停止処分を直ちに撤回せよ!

かわら版第17号ダウンロード

2010年4月27日火曜日

かわら版第16号(Web版)

image

image


京王グループ=西東京バス=多摩バスは、2010年4月のダイヤ改正により、会社はさらなる所要時間(分)短縮を強行し、法定速度で運行していたらとても間に合わないといったダイヤによるバスの運行を開始した。
そもそも、会社がおこなう所要時間短縮の狙いは、時給労働者である多摩バス運転士の賃金対象労働時間の削減による労働強化である。正社員とは言うもののパート同様の「時間給」であるから、会社は所要時間を削れば、それだけ賃金も安く出来る。だからどんどん削っている。
しかしながら、人の命にかかわる旅客輸送を生業とするバス会社において、会社が儲かるからといって、所要時間の削減すること、これまでと同じ時間間隔において走行距離を増やすことに問題はないのか?
現在、バス運転士は、利用者からクレームがこないように、ダイヤに沿った運行に努めようと、速度超過での回復運転を繰り返し、バスの運行をしている。

■本来なら遅れを見込んだダイヤ設定がスジだろう

会社は、バスに装着した「GPS」によるデータに基づいて、バス運行ダイヤを作成していると言う。が、しかし「GPS」では乗客の多寡や天候や道路状況等により運行遅れが生じた情報も含んでいるのであるから、早く目的地に到着するケースと、遅れて到着するケースとの「差異(幅)」が生じているはずである。だとすれば、現状のように早く到着したところで設定するならば、恒常的な乗客の多寡や天候や道路状況の影響を受けた場合はどうなるのか?
会社は、過去の蓄積されたデータにより、恒常的にバス運行が遅れる種々の理由を熟知しているのであるから、なおのこと運行の遅れを見込んだダイヤを作成することこそが求められるのではないか。

image


バス運転士は、他車両、自転車、歩行者の安全確認、バス停で待つ利用者の確認、バス車内の乗客の対応及び安全確認(運転士の確認するバス車内ミラーがなんと多いことか(!!))、
バスの機器操作、車内マイクアナウンス、車椅子の乗客対応等々・・・
これらの業務をワンマンバス運転士はすべてひとりでおこなっているのである。まして、ダイヤの所要時間を削れば、運転士が安全を確保するための時間を削るのも同然である。その結果、安全確認不足による事故(重大事故や人身事故を含む)は、年間300件にも及ぶのである。
さらに会社は、「発車します」「おつかまり下さい」といった自動音声による車内放送をあえておこなわず、運転士の肉声によるマイクアナウンスを“運転の最中”頻繁にやらせている。この目的は、乗客へのサービスと言うより、むしろ、肉声マイクアナウンスを乗客に混じって“裏面添乗員”にチェックさせ、評価の対象とすることが狙いなのである。仮に“裏面添乗員”による評価が悪いと、会社は下車勤務にして日勤教育を行うのである。すなわち、労働者支配の道具として肉声でのマイクアナウンスを運用しているのである。
本来、会社には、安全追及の視点から、運転士が運転に集中できるように取り組む義務があるのである。“運転の最中”に運転以外の業務をやらせ、事故が多発しているというのは、本末転倒であろう。
安全問題から言えば、マイクスイッチとバス乗降扉の開閉スイッチは、ほぼ同じ位置にあり、頻繁に操作するから、スイッチを間違え、乗客をバスの扉に挟んで怪我を負わせるケースも少なくないのである。

image


4月1日、ダイヤ改正による新ルート(恩方営業所)は、


(新)高尾駅北口→ホーメスとタウン→西八王子駅
(新)西八王子駅→ホーメスとタウン→高尾駅北口
(新)高尾駅南口→四谷→市役所→京王八王子駅
(新)京王八王子駅(発車バス停⑨番から⑧番バス停に変更)→市役所→四谷→高尾駅南口
(新)恩方車庫→ホーメストタウン→高尾駅北口
(新)京王八王子駅→追分→横川住宅(南回り循環)→市役所→京王八王子
(新)京王八王子駅(発車バス停8番バス停使用)→市役所→横川住宅(北回り循環)→追分→京王八王子


などであるが、これだけ系統を新たに変更したにもかかわらず、会社は、肝心の「新ダイヤ表」のバス利用者への配布を、3月31日(ダイヤ改正前日)ないし4月1日以降に行ったのである。
そのため、新路線に関する問合せ、新ダイヤに関する問合せなど、「対応が遅い」「系統がわかりにくい」等との苦情が殺到した。当然ことながら、バス運転中の運転士に対しても、新路線(ルート)、ダイヤ表に関する苦情や問合せは、多く寄せられたのである。
ぶっちゃけ、これだけ会社の対応が杜撰で、運転士でさえ混乱しているのであるから、利用者が混乱するのも無理のないこと、である。

image 

そんな中、4月1日21ダイヤ高尾駅南口13時20分発のバスにIさんが乗務した際、お客様に対する対応のことで、5日に会社に苦情のメールがあった。この苦情によれば、発車直前に、運転士に話しかけ、『そのときの対応が悪かった』というのが、主な内容である。
これを受けて会社は、7日のIさんの勤務を日勤に変更し、事情聴取を行い、“証言書”を提出させ、以降自宅待機処分の扱いとした。
Iさんは、会社に対し、

  1. 会社は、自宅待機処分をいつまで続ける予定なのか?
  2. 自宅待機処分を解くために、私にできることは何があるか?
  3. 自宅待機の後の処分は、どのような見通しなのか?

といった「質問書」を提出したが、会社は回答すらしていない。

image


ところで、会社の苦情処理の仕方は、どうなっているのか?Iさんを事情聴取し、その内容について苦情を入れたお客さんに伝えて、それが事実かどうか、お客さんに確認するといったやり方である。まるで最初からIさんを「犯人」扱いしているのだ。Iさんから事情を聞く前に、お客さんからのメールを張り出すなど言語道断である。
そもそも、高尾駅南口の当該バス停留所は、甲州街道を行く京王バスのルートと、西東京バスのルートが、隣接していて、馴れない乗客には、間違い易いところであること、また、この4月初めは、ダイヤ改正のため、お客さんのみならず、乗務員も混乱し、そのことについては、会社に苦情が殺到したのは、先に述べたとおりである。
そもそも会社は「新ダイヤ表」のバス利用者への配布を、ダイヤ改正前日ないし改正以降に行ったのである。そのような杜撰な対応を踏まえれば、まずもって非は会社にあると言ずさんわねばならない。会社は自らの非を棚に上げて、お客さんの「クレーム」を一方的にIさんになすりつけているのだ。お客さんからのクレームを口実としてIさんを自宅待機にするなど、本末転倒である。直ちに自宅待機を解除し、Iさんを通常勤務に戻せ!
お客さんも十人十色、いろんなが人がいるのであり、いろんなことを言うのである。ごくごく当然のことである。乗客からのクレームで労働者を萎縮させ支配するための道具にするのはヤメロ!会社は速やかにIさんの自宅待機処分を解け!

image


西川・黒田はどうした!?
今春、早々と賃上げ要求から逃亡した西川委員長は、会社から「指導営業員(4月1日付)」というご褒美をもらってウハウハしているようである。組合員には2万5千円ぽっちの一時金を勝ち取ったと誇らしげであるが、西東京バス新採用運転手は月4000円(年間4万8千円)の昇給と一時金があるのである。昇給分を時給計算すれば24円弱の賃上げである。これは10年で時給計算240円UPである。
以前より、多摩バスの評価制度のほうが既存の西東京バスよりも昇給率が高いと称賛するものが一部いる。しかしその一部の労働者はともかく、総体的に見たとき、多摩バスで働く運転士の昇給率は極めて低いものなのである。
他方、組合方針の「転籍に向けた諸条件の具体化」などもなんら進んでいないことも明らかで、労働条件検討委員会なるものも意味をなしていない。スト倒しの常連、西東京バス労組幹部は、新採用運転士から「労働条件の差に取り組まないんですか?」といった疑問のなげかけに対し「差があることを知っていて入ったんだろ」と恫喝しているありさまである。


image

  • 組合員アンケートの結果が張り出されましたが、疑問があります。「一つでも無解答なら全部無効になるのでは?」と。どういうわけか解答数にバラツキがあるんですが、「折角選択してくれたのだから、加算しようと執行部で決めた」との事。じゃあ、アンケート用紙の下の注意書きは不要だったはず。無理して選択した人もいるはずです。ちなみに、集計はたまたまいたダイヤ委員の二人立会いの元に行ったとのこと。
  • 組合に言われて、首都高速80キロで運行したけど、労働時間が増えていない。忘れ物や点検時間を入れたら時間足りない。
  • 統合問題について執行部は何も進んでないと言ってましたが、それじゃこまります。組合員に状況報告欲しいです。
  • 青梅から応援きた人が実踏なしで運行してますが、安全衛生違反ではないですか。
  • 西バス労組とか労働条件の差に取り組まない組合って組合なの?それともおれがおかしいのか?やっぱりこんなの組合じゃない!